情報環境学専攻の理念


情報理工学研究科において,数理計算科学専攻および計算工学専攻が「情報」の基幹的な科学・技術に関する教育・研究を担う基盤的コア組織として位置付けられるのに対し,情報環境学専攻は,情報科学・技術の多面的な展開・深化の役割を,「環境」を対象として担って行くことを目指すフロンティア組織である.

「環境」は,もともと本質的に多面的・包括的な概念であり,様々な要素からなる.情報化の進展は,各要素とそれらの総体としての環境システムの双方に対して,直接的・間接的に多大な影響を与えつつあり,生活環境,生産環境,都市・地域・地球環境,等々のいずれにおいても,その有り様を大きく変質させている.また,共通する基本的な構造として,人間を取り巻く広義の機械環境システム及びその構成要素が,情報化の進展を受けて質的な進化を遂げつつあり,それに伴って,そのベースとなる自然環境との相互関係も変化している.その結果,自然−人間−機械系の共生環境のあり方における新たな可能性と解決すべき課題が様々な形で現れてきている.そのため,これらのことを明示的にとらえた新たな環境学の展開・確立が不可欠になっている.

一方,「情報」は,このように環境そのものに対して大きなインパクトを与えるという側面だけでなく,環境の現状をより良く理解し,将来に向けてより合理的な改善策を探っていく上での手段としても,ますます重要になってきている.具体的には,環境の理解・記述・予測・制御のための「センシング&モニタリング」,「モデル化」,「シミュレーション」,「設計・計画論」のそれぞれに,情報科学・技術の先端的な成果を積極的に活かすことが必要になる.そして,それらの結果をフィードバックさせることにより,情報科学・技術自体の新たな発展の方向性を開拓するというinteractiveな発展形態を実現していくことも期待される.

情報環境学専攻では,このような情報を機軸とした新たな環境学を展開し確立していくための研究・教育を行うとともに,それによって,時代を切り開く新たな視野と能力を有する人材を社会に送り出すことを目指している.

情報環境学専攻の教育ポリシー


修士課程 人材養成の目的

高度情報化社会における人間と機械の共生環境や都市・地域・地球環境を対象として,環境の理解・記述・予測・制御のために,高度な専門知識と最先端の情報科学・技術を活用し,実社会に貢献できる人材を養成します.

入学者に求める能力と適性

本専攻では,次のような能力と適性をもつ人材を求めます.

  • 理学・工学を中心に幅広い学問分野についての基礎学力と教養を有している
  • 学部教育をとおして修得した専門学力を有している
  • 専門分野で必要となる語学力を有している
  • 柔軟な発想力および論理的な思考力を有している
  • 積極的に学び,困難な問題にも果敢に挑戦する気概を有している
  • 習得した知識や能力を活かし,社会に貢献しようとする意欲を有している
入学者の選抜方針

本専攻では,次のような選抜方式により,上記の能力と適性をもつ人材を選抜します.多様な専門分野から優れた人材を受け入れるため,二つのコース(機械系コース,社会・環境系コース)に分けて選抜します.また,本専攻が担うべき専門領域の広さを鑑み,他専攻の専門科目による選抜も実施します.選抜は,専門能力,語学能力および適性に関する口述試験または筆答試験と口頭試問により行います.

修得する能力

本専攻では,次のような能力を修得します.

  • 情報環境学の広範な対象に関する基礎・先端的な専門学力
  • 環境システムを情報化し,分析するための技術力
  • 情報環境学の知識を活用できる実践力
  • 情報環境学における問題設定力,問題解決力
  • 論理的思考に基づくコミュニケーション力,発表力
  • 進展の著しい情報化社会に柔軟に対応できる適応力
教育内容

本専攻では,上記の能力を身に付けるために,次のような教育を実施します.

  1. 専門基礎・先端的知識
    現象の理解や情報の処理に必要な専門基礎,および情報環境学の先端的知識を修得させる.
  2. 実習科目基礎
    情報環境学の実践的な技術を身に付けるための基礎教育として,システム設計やプログラミング技術,環境システムを情報化・分析するための統合的な技術や考え方を修得させる.
  3. PBL(Problem Based Learning)型実践科目
    情報環境学の基礎や先端的知識を実際に活用し,課題探求・問題設定・問題解決のプロセスで必要となる実践力,コミュニケーション力,発表力を修得させるために,グループ実習,個別実習,インターンシップを有機的に配置したPBL型実践教育を行う.
  4. 修士論文研究と研究力
    研究のプロセスを文書化し,指導教員に加えて他の研究者とディスカッションを行うことにより,研究を遂行するための基礎的な力を修得させる.同時に,修士論文研究を通じて,情報環境学における問題設定力,問題解決力を一層強固に修得させる.
  5. 教養・国際コミュニケーション
    人間力を高め,異分野への適応力を養うために,情報倫理やプロジェクトマネジメントなどに加えて教養教育や語学教育を行う.
博士後期課程 人材養成の目的

高度情報化社会における人間と機械の共生環境や都市・地域・地球環境を対象として,環境の理解・記述・予測・制御のために,高度な専門学力と確かな実践力をもとに本物を希求し,情報環境学を統合的に展開・発展させ,豊かな国際社会の実現に貢献できる人材を養成します.

入学者に求める能力と適性

本専攻では,次のような能力と適性をもつ人材を求めます.

  • 幅広い専門知識と実践的な問題設定・解決力を有している
  • 新しい知見や技術を自在に活用し,総合的・多面的な視点から論理的に思考できる能力を有している
  • 国際的に通用するコミュニケーション基礎力を有している
  • 獲得した専門知識や専門技術を社会に還元し,社会貢献しようとする志を有している
入学者の選抜方針

本専攻では,過去の研究履歴(修士論文の内容),博士後期課程における研究計画,語学力,適性に関する口頭試問により,上記の能力と適性をもつ人材を選抜します

修得する能力

本専攻では,次のような能力を修得します.

  • 情報環境学を展開し発展させることのできる専門学力,技術力
  • 専門知識を自在に活用して,多様な視点から問題にアプローチする実践力
  • 広範な分野の知恵,知識,人材を調和させる統合力
  • 国際的に通用するリーダーシップ力
  • 常に本物を希求し熱意をもって取り組む力
教育内容

本専攻では,上記の能力を身に付けるために,次のような教育を実施します.

  1. 博士論文研究
    博士論文研究を通じて,情報環境学における実践力,統合力を具体的に修得させる.国内外での学会発表など成果公表の場に積極的に参加させ,研究の遂行および創造・発信のための総合的な力を培う.
  2. 研究ディスカッション
    専門領域の研究者に加えて,他分野の研究者と博士論文研究を主題に定期的に話し合うことで研究を実施する視野を広げさせる.また,研究プロセスを適宜議論し,研究上の理解を深めさせる.
  3. TA/RA制度
    修士課程における授業のTAを通じて指導力を培うとともに,RAを通じて特定の研究課題の研究力を修得させる.
  4. 派遣プロジェクト
    国内外の企業,研究機関,大学において,研究・開発プロジェクトに加わり,研究者や技術者の意見を参考にして,プロジェクトの進め方,手法などを主体的に考えさせ,企業におけるプロジェクト遂行能力や国際的な視野での研究・開発方法を修得させる.